血管腫と言われたら 〜赤ちゃんの「赤あざ」について〜

本日は、何か別件で小児科や皮膚科を受診したときに
「血管腫です」
「生まれつきの赤あざですね」
と説明を受けた場合の対応についてお話しします。

いわゆる生まれつきの「赤あざ」には、大きく分けて2種類あります。

  1. 乳児血管腫(いわゆる「いちご状血管腫」)
    → 時間とともに消えていくことが多い
  2. 単純性血管腫(ポートワイン母斑など)
    → 基本的に消えず、将来的に治療が必要になることがある

以下に両者の違いを表にまとめました。

【乳児血管腫と単純性血管腫の違い】

項目 乳児血管腫 単純性血管腫
正式名称・俗称 乳児血管腫(いちご状血管腫) 単純性血管腫(ポートワイン母斑など)*
発症時期・性状 生後数週間以内に赤みが出始め、数ヶ月で盛り上がる 生まれたときから赤あざとして存在
消退時期 多くは幼児期にかけて徐々に消える 基本的に自然には消えない
治療法 経過観察または薬剤治療(β遮断薬内服など) レーザー治療(皮膚科・形成外科で実施)
受診すべき時期 できるだけ早め(0歳から治療可能) 早めが望ましい(0歳からレーザー可能な場合あり)
注意点 大きさや場所によって治療適応が変わるため専門医受診を 成長とともに濃く目立つ場合があり、早期評価が重要

*現在の正式名称は「毛細血管奇形」ですが、本稿では従来の「単純性血管腫」と記載

どちらの血管腫も、0歳から治療が可能ですが、治療には通院が必要となるため、「本当に今治療を始めるべきかどうか」の判断には専門的な知識が必要です。特に乳児血管腫は、消える程度によって跡が残る場合があります。当院でもご相談を承っておりますので、気になる赤あざがある場合はお気軽にご連絡ください。
※ネット予約ではなく、お電話での予約をお願いいたします。

参考文献 あたらし皮膚科学【第3版】(中山書店, 2018)、やさしい小児の皮膚科(診断と治療社, 2025)

文責 新関寛徳(院長)

最終履歴 2025年6月30日