「焼肉のあと夜に蕁麻疹?        マダニが関係する牛肉アレルギー」    ― α-Gal症候群(前編)―

食物アレルギーといえば、卵や小麦、エビなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。これらは通常、食物摂取後30分以内に症状が出ますが、本稿でご紹介する「α-Gal症候群」は症状が出るのが遅いこと、そして原因が食物ではなくマダニに咬まれたことにある点が特徴です。

マダニに咬まれると、唾液成分に含まれるα-Gal(アルファガル)抗原が体内に入り、それに対するIgE抗体が作られることがあります。その後、牛肉や豚肉などに含まれる同じ糖鎖(α-Gal)を摂取すると、アレルギー反応が起こるのです。

この病気の大きな特徴は、症状が食後すぐではなく数時間後に出ることです。
多くの場合、食事から3〜6時間後に症状が現れるため、原因となる食べ物に気づきにくいことがあります。

主な症状は次のようなものです。

・蕁麻疹、皮膚のかゆみ
・腹痛、下痢、嘔吐
・呼吸困難
・重症ではアナフィラキシー

原因となる食品は牛肉だけではありません
豚肉や羊肉などの赤身肉のほか、脂身、内臓(ホルモン)、ゼラチンなどの肉由来成分でも症状が出ることがあります。ソーセージやベーコン、スープなどの加工食品にも注意が必要です。

一方で、鶏肉や魚は食べられることが多いとされています(ただし一部の魚で発症例の報告があります)。

診断には血液検査が用いられます。
一般的には牛肉や豚肉に対する特異的IgE抗体を調べ、必要に応じてα-Gal抗体を専門機関で測定します。なお、α-Gal症候群では肉を食べてすぐではなく数時間後に症状が出ることが診断のヒントになります。

予防で重要なのはマダニ対策です。
草むらや山林に入る際は、長袖・長ズボンを着用するなどして肌の露出を減らしましょう。

日本では島根県、宮崎県、三重県、徳島県、愛媛県などで患者報告が比較的多いとされています。自然環境がよく残る地域ではマダニが生息しやすく、出雲大社周辺や熊野古道のような森林地域も環境としてはマダニが多い場所と考えられています。

また血液型との関連も報告されており、A型やO型の人で発症しやすい傾向が知られています。これはB型の人がα-Galに似た糖鎖抗原を生まれつき持っているため、感作されにくい可能性が指摘されています。

次回は、以前ご紹介した花粉‐フルーツ症候群との違いや、外来で実際に相談されるケースについて解説します。

文責 新関寛徳(院長)

最終履歴 2026年3月15日