当院のアトピー性皮膚炎治療方針その2(0歳から2歳まで)

アトピー性皮膚炎とは、1)かゆみがあり、2)からだの様々な場所に対称性に、3)繰り返し出現する皮膚炎といわれています(日本皮膚科学会2018年診断基準による)。

 

ということは0歳で発症しても3)の繰り返し出現するという定義を満たすには経過を観察しなければなりません。一応、診断基準では、2歳未満では2か月、それ以上では6か月継続することを条件としています。とはいうものの、何月何日から始まったか非常にわかりにくいので、保護者やかかりつけ小児科医が発症にそれとなく気づくというのが現状です。

 

とはいうものの、経験を積んだ医師(年齢が高いという意味ではないです)がみれば、発症しやすい肌の特徴がいくつかみつかり、また、家族歴なども参考にして将来なりそうかどうかを踏まえて治療の開始や強さを判断していきます。

 

多くは前額や頭皮の脂漏性湿疹の出現する時期にはじまり、脂漏性湿疹?が治らず首を超えて体幹に下がってくると要注意です。しかし、脂漏性湿疹がいったん治ってからアトピー性皮膚炎の皮疹が出現するこどももいますので一概にはいえません。

 

治療は、スキンケアの3つの柱のうち、1)洗浄、そして2)外用(保湿および抗炎症薬)です。

 

当院ではこの2つの柱に加え、3)紫外線対策を、スキンケアの3つの柱と呼び、リーフレットを用いて説明、実施しています。

 

おやっ、湿疹がまたでてきたぞ、と思ったら、気軽に当院にご相談ください。早すぎることはありません。2014年、世田谷区にある国立成育医療研究センターが中心になって、生後2週以内の新生児に保湿を開始したところアトピー性皮膚炎の発症が3分の2に抑えられたという報告があります(Horimukaiら: J Allergy Clin Immunol. 2014 Oct;134(4):824-830.e6. Free Article)。

 

詳しくは外来で。次回は2歳から12歳(学童期)までを取り上げます。